2018年9月12日水曜日

8410_セブン銀行


先日(2018年9月7日)特別損失のお知らせが公表されました。
https://www.sevenbank.co.jp/corp/news/2018/pdf/20180907_J2.pdf
正直、大変がっかりしました。
当ファンドでは、中期見通しを弱気に引き下げ、
保有株式の全数を売り払いました。


【1.米国展開懸念が的中】

米国では、スーパーでタダ同然で銀行預金が引き出せる
仕組みが普及しているらしく
私は、かねて米国ATM展開の勝算を疑問視していました
http://maddogdow.blogspot.com/search?q=%E3%82%BB%E3%83%96%E3%83%B3

それを株主総会でも、質問したうえで
http://maddogdow.blogspot.com/2017/07/8410.html
期待半分、不安半分、リスクテイクが株の醍醐味
と楽観的にみていましたが、懸念的中のほうが的中です。

同社IRでは詳細が明らかではありませんが
はっきりいって、つい最近展開を始めたばかりなのに
さっそく「低採算契約締結先との交渉開始」
といっているあたり、目論見大外れの感を強く感じます。
利用件数向上を強調していますが
低単価で無理やりやっているのではないでしょうか?

米国セブンイレブンのwebサイトを見ると
https://www.7-eleven.com/financial-services/transact
"$0 ATMS AT PARTICIPATING 7-ELEVEN STORES"
無料のATMというような雰囲気を感じます。

【2.インドネシアも見通したたず】

セブン銀行は、基本的にセブンイレブンの中にあるから便利なのです。
セブンイレブンとともに一定のシェアを獲得したうえで
ATMが「駅にもある」「空港にもある」というのが相乗メリットになります。

それで、セブンイレブンブランドは
インドネシアから完全撤退したようです。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDX22H17_S7A620C1FFE000/
よって、同社IRはインドネシア展開について一言だけ
「事業計画の見直し」と書いていますが
相当抜本的に拙い可能性を感じます。

【3.国内も明確に逆風】

「政策に売りなし」という投資格言があります。
逆に「政策逆行に買いなし」ということだと思います。

日本政府(経済産業省)は平成30年4月
「キャッシュレス・ビジョン」を公表
http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180411001/20180411001-1.pdf
キャッシュレス決済の比率を現状の18%程度から
早期に40%に引き上げる旨数値目標を掲げています。
これは同社にとってあきらかな逆風です。

日本国内にあるATMの10%以上をセブン銀行が占めるに至り
セブン銀行が、税金や年金といった
キャッシュレスになりにくいと考えられる
「指定金融機関」に浸食しシェア拡大するのではという見方もあるようですが
指定金融機関の件当たり取次単価10円以下と非常に安いようです。

また、同社がLINEPAYの協業などでキャッシュレス状況下で件数を獲得できても、いまのような単価でいうわけにはいかないと思います。
単価は1/5以下で、その代わりに件数が5倍です。という姿はちょっと想像できません。


【4.成長株から高配当株へ】

株価は美人投票です。
セブン銀行は、国内でも海外でも分かりやすく
売上や利益が倍になる感じがないので
株価が倍になる感じがしません。

一方で、向こう10年は地方の高齢世帯を中心に
現金需要が引き続き強い感じもします。

私の勝手な予想としては、同社は海外展開に見切りをつけることで
安定した成熟期に入り、当面高配当株の代表のような存在になると思います。

私は、日本株セクターは高配当ETFにてかなり保有しているので
今後同社株をETF経由で保有している状態はよいけれども
同社株を個別に保有してもその価額が倍になる期待はない。
よって、個別に持っている価値はないということを
最近じつはうすうす感じてはいたけれども
今回のIRをきっかけに、踏ん切りがつきました。

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