2017年9月27日水曜日

母子投資手帳>5.あさーい簿記のすすめ


個別企業への投資を検討する場合、
おそらく一番重要なのは、その企業の事業が考えている
想定需要、市場規模だと思います。
そして、市場主義経済では同時期に
同じような事業構想が思いつかれたたり
後追いで模倣されたりして競合が発生します。

想定される需要(数量)と競合環境に対して
その会社は
いかなる価格(単価)で望み費用(ヒト・モノ・カネ)を投下し
差分としての利益を生みだすのか?

一般の個人投資家がどの程度簿記の知識を
以って株式投資をしているかわかりませんが
勘定科目をなんとなく知っているとイメージしやすいです。
「個別にきちんと集計(勘定)してその状況把握したい項目」
だから、勘定科目という名前なのであって、
それはそのままキーワードなのです。


本当にざっくりとした言い方になりますが
・製造業であれば …
 売上高”数量×単価”
  ‐ 費用(材料費,労務費,水道光熱費,減価償却費,在庫棚卸高) 
  → 利益
・小売業であれば …
 売上高”数量×単価” 
  ‐ 費用(仕入高,販促費,給与,支払家賃,在庫棚卸高
  → 利益
・サービス業であれば
 売上高”客数×客単価”
  ‐ 費用(仕入高,給与) 
  → 利益
という利益創出のプロセスを想定できます。

例えば
 ・製造業で、材料費がなんでこんなに変わるんだ? とか
 ・小売業で、在庫をさばけていないんじゃないか? とか
 ・サービス業で、売上は横ばいだが人件費がコントロールできていない とか
 ・小売業なのに販促費が低い。ここに革新的ななにかがあるのか とか
を勘定科目を手掛かりにかなり想像することができ
投資判断ができるというわけです。

しかも、上場企業はルールで損益計算書というものを開示しないといけません、
損益計算書は、例えば1年間の売上と費用を一枚でまとめた書類です。
キーワード=勘定科目名ですので
想像したことを金額で確かめることができるのです。
これを、『財務会計』といっています。


それで、” ”のなか、例えば飲食業における売上高は
実事業活動では”客数×客単価”でもたらされます。
売上高は、財務会計上で明らかにしないといけないことになっています。
客数、客単価の開示義務はありません。

ただ、経営者はこれらを重要な指標としてモニタリングしています。
また、上場企業の多くが投資家向けに公開しています。
例えば、マクドナルドでいうと
 → 100円マックの投入で、客単価は落ちるけれど客数が増えて
   結果売上が上がれば基本的に○であるし
 → 高めの限定メニューを投入して客単価もあがって
   しかもプロモーションがうまく、話題性から客数も増えると◎
であるといえます。
このように財務会計の要素ではないが
経営上、重要な指標となるものを追跡するのが『管理会計』の部分であり、
ここが上手くいっていなければ、つれて財務会計は赤字になります。
事業の限界か、経営者の無能ということが理解できるのです。


実は簿記なんか知らなくても、中長期投資の場合
投資検討対象を考えるときは
基本利益構造を分解して、今後も有望か考えるわけですが
(デイトレードは、チャートから明日の値段を考える)
勘定科目とその意味する対象を知っていると
より直感的に「ピンとくる」というわけです。

もっとも、このような観点を概念として知っていれば
勘定科目が日本語で書いてあるので
その字義から、結構なことを推し量ることができます。

簿記は、仕訳の仕方から入ると、きっととっつきにくいですが
損益計算書を読み解いてみるから始めると面白いかと思います。

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